Only Sense Online-隙間産業万歳なゆっくり生産職ライフ小説ー

ゲームでもリアルでも「効率」が求められる今日この頃。
効率を求めるのは悪いことではありませんが、
そればかりだとツマラナイし、疲れませんか?
今回紹介するのはそんな決まりきったテンプレートなんぞ御免だというアナタに薦める小説です。

あらすじ

【センス】と呼ばれる能力を組み合わせ“唯一”の強さを目指すVRMMORPG――「オンリーセンス・オンライン」
親友タクや妹のミュウたち廃ゲーマーが攻略に突き進む中、「ゴミ」「使えない」と名高い不遇センスばかりを装備してしまったゲーム初心者のユン。
できることといったら、ひたすらポーションを生産することだけ・・・。
そんな日々の中、ユンは“トップ生産職”として活躍するお姉さん・マギと出会う!
誰も知ることのなかった、アイテム生産や補助魔法の可能性に気づいたとき、サポートスタイルに革命をもたらす“最強”の初心者プレイヤーが誕生する――!?
(公式サイトより抜粋:http://www.fujimishobo.co.jp/sp/201404onlysense/)

ゲーマー目線として楽しむ小説

著者はゲームをプレイするにあたり、wikiや個人ブログなどの様々な攻略情報を見てプレイする派です。
ゲームによって差はまちまちですが、必須スキルとかテンプレ装備という物はどんなゲームでもあるでしょう。
やっぱりゲームをするなら強くありたいと思うのは当然の心理でありますし、
楽をしたい訳では無いですが、難しすぎたりしてストレスを抱えながらゲームをするのはどこか間違っていると思うのは自分だけだろうか。
当然スキルや装備などによって差が生まれますし、不遇スキルとかゴミ装備とカテゴライズされる要素がでてきます。
本作の主人公(兼ヒロイン)であるユンはそんな不遇と向き合うことから物語は始まります。
サポートに徹しようと考えて合成や調合、付加(いわゆるバフやデバフ)に錬金と言ったスキルを獲得し武器は弓を選択する。
意気揚々とログインしたが待っていたのは何故か性別転換し女性キャラクターになっていたユン(syunと入力する筈がsを打ち損ねる)。
この時点でもデリート案件ですが、姉妹に脅迫という名の説得を受け続行。
さらにスキルのダメっぷりを説明されたり、武器の扱いの難しさを身をもって体験する。
著者ならこの時点で最初からやり直すと思いますがユン君はへこたれません。
試行錯誤を繰り返し、時には先人のアドバイスをもらいながらスキルや仕様を解き明かしていきます。
例えばこの作品では、ポーション1つ作るにしてもこの世界には様々な方法があります。
材料を煎じて作る調合。作成済みアイテムレシピからショートカット調合。下位素材からの錬金。
手順を工夫して、乾燥させたり濃縮したりと様々に一手間を加える作業描写はとても楽しそうです。
この様な細々とした作業って案外癖になりませんか?
ポーションを作ろうとして毒物を生成するというお決まりも有ったりして和みます。
リアルでもゲームでも動作を繰り返すことによりレベルは上がるものです。
御多分に漏れず本作でも様々な行動でレベルが上がります。
移動速度を上げる補助魔法では戦闘以外に街中での移動中に発動していればOKです。
面白い例だと付加で速度を上げて畑を耕したり、攻撃を上げてインゴット作成なんてことも。
足りない物を補って使っていくスタイルで徐々に出来ることを増やしていく感覚がまた良いんです。
このレベリングと並んで面白いのは、様々な(不遇)スキルのシナジーです。
ユン君は鷹の目と言うスキルを獲得しています。
これは遠視効果メインで弓などの遠距離職には良いのかもしれませんが、
プレイヤーの間では何故か微妙な扱いと聞きます。
しかし実際に使ってみると暗視効果があり夜間戦闘にも効果があることが解ります。
これだけでも不遇脱却要素ですが、実はこれ副次的効果だったのです。
これ以上はネタバレもいいとこなのですが、
使えないと烙印を押されていたのが1つの発見で輝くのは読んでいてとても興奮します。

Only Sense Onlineの魅力とは?

ではこの作品のラノベ的面白さについても語っていこうと思います。
著者的には2つ大きな魅力があると思います。
まずは何といってもユン君の天然さでしょう。
機械の誤認で性別が女性になるという面白い(ありえない?)設定から始りますが、
なんだかんだでゲームをマイペースに楽しんでいきます。
のんびりポーションを作ったり、畑を耕したり、料理をしたり。
山に登り鉱石を採掘したり、川で泳いで宝石の原石集めに勤しんだり。
時には知り合いからアイテム作成の依頼を受けたり、
またある時は新人プレイヤーの面倒を見たりと人の輪を広げていきます。
NPCキャラクターとの交流も忘れません。
とあるイベントではユニークモンスターの幼獣と仲良くなり、
世話をしていて付いた二つ名が「保母さん」。
なんやかんだで有名になりギルドへの勧誘がしつこくなるわ、
PKに目を付けらりたり、突発イベントに巻き込まれたりと大変です。
大変と言えばユン君の容姿や言動もイロイロ問題です。
姉妹に負けず劣らずの黒髪スレンダー美人さんになるも、
素が男性なので男言葉でプレイするために、そう言うロールだと勘違いに始まり。(いわゆる俺っ娘扱い)
下手に女子力が(異様に)高いがため、主人公でありながらヒロインも兼任し。
その容姿から、服飾関連の生産者にはコスプレまがいのモデルに抜擢されたり。
宴会が始まれば厨房の鬼になったりと忙しいゲームライフです。
リアルのユン君を知らないプレイヤーからは、友人とのやり取りを聞いて盛大に誤解される薄い本展開にもなったりと。
苦労が絶えませんが、そんな残念で可愛いユン君のonly oneな日常が面白いのです。
2つ目の魅力は安心して読める優しい世界ということでしょうか。
ログアウトできないとか、ゲーム内で死んだら現実でも死亡するなんて要素は全く無く。
俺TUEEEEな無双主人公でも無く、むしろ守られる描写の方が多いかもしれないし。
まぁユン君は弱い訳では無いし、戦闘能力はそれなりにあるのですが今一つ気が付いていない点も面白いのではありますが。
よくあるハーレムとは無縁だし、恋愛要素も殆どありません。(むしろプリーズ)
様々な思想や陰謀が渦巻くなんてことも無くは無いけど、人が本当に不幸になることは無いのも良い点。
起承転結が無いとも言えるかもしれないし、
チャンバラ時代劇とか特撮ヒーロー物とか日常系のような安定感があるとも言える作品なのです。

実際に読んでみた感想

この作品にツッコミどころや違和感もない訳ではありません。
例えば、本作はゲーム物として謳っているのに、
その根本となるルールや仕様などの説明が大雑把でご都合主義がそれなりに目立つ事だったり。
また実際にオンラインゲームをプレイしたことが有るの人からすれば解るかもしれませんが、
基本的なネチケットや迷惑プレーに対するスタンスがどうも目に付きます。
しかし、そう言ったネガティブ要素を踏まえても、
創意工夫次第で何でもでき、マイナーとも独創的とも言えるプレイスタイルで遊びを開拓していく様は、
レベリングや素材採集などが苦にならない人種ならば、共感したり感銘を受けるのではないでしょうか。
なんと言うか頭を空っぽにして気楽に読んでいける作品であり、
ゲームの実況動画やプレイ日記を見ている感じで楽しむ作品だと著者は受け止めています。
そんな夢を見せてくれる作品「Only Sense Online」は、
2017/10/27現在、原作小説1~13巻、外伝小説1~2巻、公式漫画1~5巻が発売中です。

【作品情報】

タイトル     Only Sense Online‐オンリーセンス・オンライン‐
出版社      KADOKAWA
著者       アロハ座長
イラスト     ゆきさん
コミカライズ   羽仁倉雲

原作小説

外伝小説

公式漫画