情報処理学会コンピュータ将棋プロジェクト終了。あから2010は将棋ソフトとプロ棋士対決の生みの親?!

コンピューター将棋のプロジェクト終了宣言とは…?勝利宣言と書いていない 敗戦とは決して書いていない 終戦という平和の方向性?

http://www.ipsj.or.jp/50anv/shogi/20151011.html より 終了宣言 とは…勝利宣言と書いていない 敗戦とは決して書いていない 終戦という平和の方向変換へのアピールとも?

コンピュータ将棋プロジェクトの終了宣言は新たな世界へ船出する

2015年10月11日、情報処理学会のWebサイトによれば、コンピュータ将棋プロジェクトの終了するとの宣言が告知されて話題になっています。

情報処理学会の命名した将棋ソフトの名前「あから」とは、阿伽羅という漢字と表記される10の224乗という数を意味し、

将棋の局面の数がこの数に近いことに由来しているようです。

情報処理学会によるプロジェクトの終了宣言をコンピュータ将棋が、

人間に較べて引けをとらなくなるまで成長した、よって目的はもはや達した

という単純な話ではないように思います。

以下情報処理学会のコンピューター将棋あから終了宣言の中から引用してみます。

 

(引用ここから=)

コンピュータ将棋の実力は2015年の時点でトッププロ棋士に追い付いているという分析結果が出ています2)

(追い付いているのは毎回必ず勝つということは意味しません.たくさん対局をすると統計的に勝ち越す可能性が高いという意味です).

2))小谷善行:第3回将棋電王戦を振り返って:3.コンピュータ将棋の棋力の客観的分析−人間のトップに到達したか?−,情報処理,Vol.55, No.8, pp.851-852(Aug. 2014)

トッププロ棋士の明確な定義はありませんが,名人や竜王などの複数のタイトルを数年間以上に渡って保持している強いプロ棋士を意味するものと見なしています.

(=引用ここまで)(色や太字の装飾は引用者による)

 

むしろパソコンによる将棋の解析技術というデジタル技術と、実際にプロ棋士など将棋を指すアナログな世界との重なりはさらに加速していきます。

その結びつきのあり方も新たな発展性を見据えつつ節目を付けるに至ったという解釈ができるように思います。

あから2010プロジェクト、お疲れ様でした

あからという将棋ソフトの構想について

コンピュータ将棋『あから』強化推進委員会は、本会活動の一層の充実・発展を図るべく、コンピュータ将棋を通して情報処理技術の進歩を社会にPRすると共に、情報処理技術の重要性、可能性の認識を広め、特に若い世代への情報技術への関心を喚起し、3年を目標にトッププロ棋士との対局を実現し勝利を収めることを目指したものです(2015年10月に終了)。

当初、 「あから2010」という将棋ソフトは実はひとつのソフトではなく、複数の将棋ソフトの並列処理を行いながら、最良の手を狙うソフトとして設計が予定されていたようです。

複数のソフトウェアを疎結合で並列計算させて、それらの意見を集約して、次の一手を決定する手法です。プロジェクトにはGPS将棋、Bonanza、激指、YSS、TACOS、柿木将棋などが名乗りを上げていました。

(リンク先は2010年4月5日に発表された情報処理学会によるあからという将棋ソフトのQ&A のページです。)

例え1つのパソコンの性能がさほど大きなものでなくても並列にいくつもつなぎ合わせて計算をさせると、普通では考えられないほどの性能を出すことができます。これがハードとソフトともに並列につなげながら計算をさせると夢の様な力を出せることにもつながるわけです。

 

 

プロ棋士が将棋ソフトとの対決するための予算枠が広がるきっかけ

プロ棋士とコンピュータ将棋ソフトとの対決のためにスポンサーが必要です。

ファンなどの支援もあり、なんとか予算的にめどが立ちます。

当時の女流王将だった清水市代を「あから2010」は負かしてしまいます。

プロ棋士では予算が追いつかない事情により、元プロなら棋士と将棋ソフトとの腕比べができるという流れになりました。

元プロなら勝負する予算も抑えられるとあってか、プロを引退した米長邦雄氏が将棋ソフトに負けてしまうのです。

さらにIT技術が将棋の世界に流入し続け、将棋ソフトがプロ棋士と対決する電王戦の勝敗は、日本のトップニュースになるほどの話題を集めることができたと言っていいでしょう。

 

選ばれた5人のプロ棋士でさえも、コンピューターソフトに全勝できていない

将棋ソフトとプロ棋士との戦い2015年の電王戦の勝敗図

http://www.shogi.or.jp/kisen/denou/ より

将棋ソフト「あから」は、将棋ソフトはプロ棋士より弱いという常識に果敢にも挑み35年の時をかけたそうです。

このプロジェクトが様々に波及し、毎年ニコニコ動画で有名な「ドワンゴ」により、プロ棋士コンピュータ将棋ソフトウェアとが戦う非公式棋戦、いわゆる電王戦が開催するに至りました。

上の電王戦の対戦記録表の様子のように、日本将棋連盟の元プロ米長邦雄氏が「ボンクラーズ」という将棋ソフトに負けてしまう大変なニュースとなり、テレビで特集が組まれました。

情報処理学会が挑戦状を日本将棋連盟に送りつけ、それを受け取ったのが米長邦雄であり、米長邦雄は女流王将の清水市代を差し向け、負けてしまう。あまつさえも自ら戦ってコンピューター将棋に負けたのです。

いよいよ人間の思考がコンピューターに危ぶまれるまで達したのかという段階でした。

かつて将棋ソフトの強さはプロ棋士が恐れるほどのレベルまで達していないという水準から、

コンピューターがプロを負かすところまできたという驚きで世間は動揺します。

 

プロ棋士をして将棋ソフト特有の弱点研究が欠かせないほどの将棋ソフトの成長ぶり

パソコンとプロ棋士とで勝負し、プロが3勝、将棋ソフトが2勝となった対戦表

http://www.shogi.or.jp/kisen/denou/ より
パソコンとプロ棋士とで勝負し、プロが3勝、将棋ソフトが2勝となった対戦表 日本将棋連盟より最終局第5局の阿久津8段が将棋ソフトの裏をかく。

「ハメ手」って何? 将棋・電王戦で21手でコンピューターが投了 人類が圧勝した理由とは

対局は阿久津八段が序盤、ソフト相手に有力と見られている、通称「嵌め手(ハメ手)」と呼ばれる奇襲手を指したところ、AWAKE開発者の巨瀬亮一さんが投了を宣言した。対局開始から1時間も経たずに終局。持ち時間は5時間が用意されていたが、消費時間は阿久津八段が13分、AWAKEが30分だった。

投稿日: 更新:
人と人が将棋をするセオリーがコンピューター相手には通じない程将棋ソフトが強くなります。将棋ソフトは将棋特有のルールを完全には把握しきっていないために起きた、いわばプログラミングの隙ないしアナログな状況について全てのパターンを把握しきってはいないという未完成なレベルであるのは、一筋の光なのでしょうか?
強い相手と戦うほど将棋ソフトはさらに強くなり、むしろ負けたほうが強く成長するという将棋ソフトの世界。何か負けて強くなるという表現に筆者は戸惑いつつ、将棋ソフトと将棋をめぐる世界の流れの不思議さをかんじずにはいられません。

将棋のルールを知り抜いたわけでなく、どこか漏れのある将棋ソフトの弱み

プロ棋士と何度か勝負すれば勝てるという強さとは何なのか?

『毎回必ず勝つということは意味しません.たくさん対局をすると統計的に勝ち越す可能性が高い』

この言い回しは、将棋ソフト「あから」がトッププロ棋士に追いついているという表現に強がりや負け惜しみがあるように筆者は受け止めています。情報処理学会が使命を終えたという意味について、もう少し考えさせてください。

どんな優秀な将棋ソフトであれ、将棋という複雑なルールの世界に従って駒が並べられていく複雑で広大なアルゴリズムの海を泳がなくてはなりません。そのために設計し、プログラミングされて、一つの将棋ソフトとして感性させるのは、人間の思考や記憶、判断の集積だったり表現形のはずです。

お約束のようにコンピューターやロボットが人間の脅威になるというお約束

マッド・サイエンティストが邪悪な意図で開発したコンピューターやロボットにヒーローたちが立ち向かうというストーリーは、

映画ターミネーターが開発したヒトを襲う未来から来たロボット

マトリックスというコンピューターが支配することで人類を電池として支配される仮想現実世界

人類とコンピューターがあたかも白と黒のように単純に色を付けるかのような世界観は一見シンプルで受けも良いでしょう。

人類がやがて暴走したロボットやコンピューターに攻撃されたり利用されたり、人以外の無生物のテクノロジーによる人工知能から抜け出すうストーリーにはどうしても人の手を離れて自立するコンピューターというモチーフがついて回りがちです。

コンピューターを作ったのも人間ですし、プログラムを作りシステムを開発をしたのもまた人類です。

アナログな作業をデジタルに変換してくれるコンピューターお得意の技術もまた人類が考えだしたものです。

コンピューターに人格がないからプロ棋士にない肉体的な制約を超えて打ち負かすとしたら痛快かもしれません。プロ棋士へコンピューターに負けるなと声援を送るのも手に汗握るものでしょう。

ただ筆者には、ソフトによってもたらす恩恵を設計、製造したのは開発チームであり、開発チームとプロ棋士一人が戦っている構図を隠し、単にコンピューターソフトを1つの人格として独立した存在のように演出性に強く違和感を覚えます。

日本将棋連盟会長 米長邦雄氏の思い

「人間とコンピュータの協力関係をとにかく長続きさせたい」

「人間がコンピュータに勝てないというときが万が一来たとしても、お互いがお互いにとってマイナスにならないような関係」

米長邦雄氏の発言は中央公論の特設サイトで確認できます。筆者はプロ棋士を叩きのめすソフトが作りたいという夢、無敵のソフトを作りたいという志まで否定しません。

ただ、コンピューターをまるで人工知能のように主体的な意志を持ちむしろ気持ち悪いと思う感性に疑問を強く抱いています。

コンピューターソフトで五目並べやオセロなどで勝つ自信などまったくありません。

ただ、「あから2010」という将棋ソフトが波紋となって広がった将棋という駒を将棋盤の上で並べるだけの極めてアナログなゲームがデジタル化する時に、一斉にアナログで人の頭脳を使う将棋を「時代に遅れている」そこで、あから2010から出発した情報処理学会のコンピューター将棋は指導権を握ったから、目的は果たせたとはいえないでしょう。

しかし、将棋ソフトの強さを悪用する人さえ問題になっています。

次の1手をパソコンに判断させて、ネットの将棋道場でいくら強いというのはシークレットブーツを履いて高い身長であるというようなきどり方のようでエレガントさを欠いています。

やるなら、徹底的に自ら作った将棋ソフトを強い将棋ソフトにぶつけて打ち負かすとしたら、よほど格好の良いコンピュータ将棋のあり方だと思うのです。

人とコンピューターとの対決はこれからが面白い!

肉体に縛られないコンピューター将棋の未来

プロ棋士が持ち時間を使っている時に、考えていたりするプロ棋士の姿勢、心拍数、瞬きの数、息遣いを対局者は意識をしたり感じています。無視することもあるでしょう。しかし、五感を使ってヒトは考え決定を下し、モノを動かし考えて決断を下すものです。

現在の将棋ソフトにそのような対局者の感情や動作を分析したり、作戦に加えるソフトにより近い未来新しい将棋ソフトが生まれるとしたら将棋ファンはわくわくします。同じ将棋ソフトでも、自分の好きな棋士の姿勢をなぞらえながら、まるで本物のプロ棋士と対戦しているかのような雰囲気さえ楽しめそうな将棋ゲームすら登場してしまいました。

デジタルな将棋とアナログな将棋の美味しいところを両取りする楽しみ方を

情報処理学会では、プロ棋士が自分の棋力を上げるためにコンピューター将棋が利用されて嬉しいとのコメントがあります。

羽生名人は注目されると、若い人らしく既にNECのPC-9801(古い!)を駆使し過去の棋譜を研究し尽くすハイテクを利用した研究場面がクローズアップされていました。当時パソコンと将棋との接点がある事自体新しい時代がありました。(ハイテクという言葉もすっかりホコリを被った表現!)

ところが、実際には対局室ではモニターに映るコマをマウスで動かすなんてことはありえません。

将棋道場として用意されているWebサイトで全国デジタル情報との戦いとして将棋を楽しむことはあっても、視線、姿勢、息遣い、表情等戦う相手の様子全ては伝え切れず、Webカメラやマイク、文字によるチャットくらいを伝えるぐらいです。

日曜日に朝のNHKでほぼ毎週放送されるプロトーナメントなどプロ棋士の対局動画を見ればわかるように将棋の相手は人であって、画面上のコマのイメージ画像ではありませんよね。

羽生名人も、実際に駒を触って考えることが大切だとも発言されていると聞きます。

地域でおじいちゃんも子供も一緒に囲みながら、ドラマでよく描かれる縁台将棋。

これなら「待った!」をかけたり隣人が「他にいい手がある!」などと声をかけられたり、冗談を交えながら、アナログな将棋も楽しそうじゃないありませんか?

情報処理学会が今後の方向性をコンピューター将棋をプロ棋士との対決の道具としてではなく、「将棋をする人」に利用されるツールとしての役割に着目しているところがとても暗示的だと思います。

 

 参考リンク等

情報処理学会が日本将棋連盟に「コンピュータ将棋」で挑戦状 2010年4月2日について引用

挑戦状

社団法人 日本将棋連盟 会長 米長 邦雄 殿

コンピュータ将棋を作り始めてから
苦節三十五年
修行に継ぐ修行 研鑚に継ぐ研鑚を行い
漸くにして名人に伍する力ありと
情報処理学会が認める迄に強い
コンピューター将棋を完成致しました
茲に社団法人 日本将棋連盟殿に
挑戦するものであります

平成ニ十ニ年四月二日
社団法人 情報処理学会
会 長  白鳥 則郎

日本将棋連盟より情報処理学会からの挑戦への返答

社団法人 情報処理学会 会長 白鳥 則郎 殿

挑戦状確かに承りました
いい度胸をしていると
その不遜な態度に感服仕った次第
女流棋士会も誕生して三十五年
奇しくも同年であります
今回は初戦相手を女流棋界の
第一人者清水市代に決定しました
全ての対局運営は女流棋士会ファンクラブ
駒桜が執り行うように委嘱いたします

平成二十二年四月二日
社団法人 日本将棋連盟
会長 米長 邦雄

(社)情報処理学会
Tel.:03-3518-8374
mail:以下のフォームにて
https://www.ipsj.or.jp/01kyotsu/contact/somu.html

女流棋士が男性棋士をなぎ倒さんばかりに実力を発揮するコミック
PRICE-女流棋士飛翔伝 竹書房

PRICE 女流棋士飛翔伝(1) (バンブーコミックス) 表紙画像

PRICE 女流棋士飛翔伝(1) (バンブーコミックス) Amazonではキンドルストアでも入手可能

女流棋士が男性棋士をなぎ倒しながら将棋界に君臨する世界を予感させるPRICE 女流棋士飛翔伝(1) (バンブーコミックス)では、女流棋士が自ら将棋ソフトを開発し続け、棋力を伸ばし続けたかのような描写がありました。

プログラミングがわからなくい小学生の女の子の将棋ファンが自らの棋力要請のためにとてつもなく強い対戦将棋ソフトを作っていた。やがて女流プロ棋士となり、男女の垣根なく将棋を指す。将棋界のロマンを感じさせるストーリーになっています。

2010年のことです。情報処理学会の挑んだ将棋ソフト『あから』という将棋ソフトがプロ棋士に勝利した相手というのは女流棋士の清水市代、当時女流王将でした。

プロ棋士がパソコンソフトとは戦う選択をしないように縛りを日本将棋連盟がかけました。

「対局料が1億円以下なら指してはならいない」と。

連盟に名を連ねるトッププロ棋士の男性棋士側にしても“あから”が強いとしても、勝負に勝つことでプロとしての生活にかけているわけです。予算がないのにプロは勝負するわけには行かない世界として将棋も非常にシビアな世界として成立しています。

当時の様子を中央公論ウェブサイトの2010-12-13日に発表された

『次は私がコンピュータと対局します!清水女流vs.「あから2010」戦のその後を考える』 米長邦雄=日本将棋連盟会長 梅田望夫=ミューズ・アソシエイツ社長による対談で米長邦雄氏の発言によると

さらに「コンピュータ将棋プロジェクト」に取り組んでいる情報処理学会の創立五〇周年でもあったんですね。その記念事業ということもあり、アカデミックガウンという変わったマントを着た彼らが持ってきた挑戦状を、私が羽織袴で受け取った。それが二〇一〇年の春のことです。
 対局者については、いくつものパターンを考えました。もちろんトッププロを出すという案もあった。でも今回は、女流棋士に絞りました。というのも、どうすれば対局料を捻出できるか頭を悩ませまして、結局、「駒桜」という女流棋士のファンクラブを立ち上げて、その会費から対局料を出すというサポーター方式を採ることにしたんですね。ファンクラブの会員は、インターネットで対局中継をリアルタイムで見ることができるという仕組みです。結果としては、大赤字になるわ、将棋は負かされるわで、踏んだり蹴ったりでしたけど。(笑)   (色や太字の装飾は引用者による)

プロ棋士の集まりとして将棋界を成長させていくためには、スポンサーも必要です。各新聞社には将棋のタイトル戦の記事の様子が毎日掲載されています。賞金ももちろん優勝者にはタイトルと共にもらえるものです。プロですから。

パソコンソフト同士を戦わせるタイトル戦などは今後もっと大きな注目を集められるかもしれません。

コンピュータ将棋協会は、世界コンピュータ将棋選手権も開催しています。