幻想水滸伝・シリーズ -108星の紡ぐ壮大な大河ドラマRPG-

「祗園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。
娑羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。
おごれる人も久しからず、唯春の夜の夢のごとし。
たけき者も遂にはほろびぬ、偏に風の前の塵に同じ。」
これは平家物語の冒頭部分です。
恐らく多くの方は中学か高校の古典の授業で一度は学んだことではないでしょうか?
今回紹介するのは、ゲームシナリオもそしてゲームブランドすらも諸行無常で盛者必衰な作品群です。

 

幻想水滸伝とは?

 

幻想水滸伝(以下幻水)はコナミより発売されているRPG作品です。
タイトルから分かるように中国の四大奇書である「水滸伝」をモチーフにしたファンタージ作品で、
108人の仲間を集めるところが最大の特徴です。
この108星にはそれぞれに対応する宿星(運命とか根本的な性質)に共通点があるほか、
固有のイベントや外伝派生が存在します。
キャラクターによっては作品を跨いで登場する場合もあります。
ナンバリング作品は地域や時代が異なるが、共通の世界観で展開されているのが特徴。
作品によって立場が異なり、味方になったり敵になったりする事もあれば、
前作で登場したキャラクターの子どもや一族が登場することもあります。
時系列的には4→5→1→2→3の順になります。
108人と言っているが仲間になる種族は人間だけではありません。
コボルトやリザートと言った亜人種やユニコーンやグリフォンと言った幻獣、
ムササビや犬といった動物も宿星になっています。
108人全員を集めなくてもゲームをクリアすることは可能ですが、
ストーリーに変化が生じるたり、エンディングに影響を及ぼします。
また仲間を増えると本拠地が発展し、さまざまな店舗や施設が解放されていきます。
本拠地は全作共通で水滸伝らしく、水の滸(ほとり)となっている。
基本的な店舗や施設は各作品共通だが、ミニゲームが作品によって異なったり、
作品毎の特徴的な施設も存在する。
幻水を語るうえで重要な要素に「紋章」と言うシステムがある。
特に「27の真の紋章」(以下、真の紋章)は幻水のシナリオの根幹に大きく関わる。
ただし今現在判明しているのは18種類のみであり、
今後の展開が気になるところでもある。
紋章はゲーム内のシステムでは、他RPGで言うところの魔法やスキルである。
純粋に攻撃や回復に使う物や、フィールド上での移動速度を上げたり戦闘後に得られる金額を倍増するなどの物、
セーブポイントであったり、艦船の強化素材であることもある。
作品によってマチマチだが戦闘システムがシンプルな物が多い。
通常のフィールド上の戦闘以外にも、ジャンケンのような仕様の「一騎討ち」や、
シミュレーションRPG形式だったりリアルタイムストラテジー形式で進行する「戦争イベント」が物語を彩ります。
それでは次項以降でナンバリング作品の簡単な解説をしていこうと思います。

 

プレイステーションよ。これがRPGだ!

これは記念すべき第一作めのキャッチコピーです。
1995年にPlayStationで発売され、後にセガサターンやWindows95、PlayStation Portableや携帯電話用アプリなどに移植されました。
物語の舞台は太陽暦457年の赤月帝国。主人公は赤月帝国五将軍の子息であり、周囲からも皇帝からも期待を受けていた。
ところがある日、親友が宮廷魔術師から目を付けられ襲われる。
その原因は親友が真の紋章である「生と死を司る紋章」を宿しており、親友の願いにより主人公はこれを継承する。
これが引き金となり帝国に狙われる事になり帝国軍を離反する。
その後、帝国の圧政に対抗するべく結成された解放軍に身を寄せ、
志半ばで散ったリーダーの意志を継ぎ宿星に導かれた107人の仲間と共に打倒帝国の戦いに身を投じると言ったお話です。
幻水世界では「門の紋章戦争」と呼ばれています。
一作目と言うことでシステム面ではまだまだ粗く、
シナリオの進行上仕方ないのですが戦闘メンバーが安定しません。
ただエンカウント率や戦闘難易度も程ほどであり、
レベリングも楽な部類に入ると思います。
後の作品に繋がる幻水らしさが既に出来上がっており、
幻水を唯一無二のシリーズにしたといっても過言ではありません。

 

その強さがあれば、全てを守れると思った。

第二作目のキャッチコピーです。
1998年にPlayStationで発売され、後にPlayStation Portableや携帯電話用アプリなどに移植されました。
国内外問わず非常にファンが多く、JRPGの名作だと言える作品です。
物語は太陽暦460年、主な舞台はハイランド王国とジョウストン都市同盟の5都市1騎士団がにらみ合う地域です。
主人公は親友のジョウイと共に王国の少年兵に所属していたが、
ある一派の策謀によりスパイの汚名を受け処刑されそうになります。
寸前で都市同盟の傭兵に助けられ、義理の姉ナナミと共に故郷を脱出します。
その後イロイロあり主人公とジョウイは真の紋章を継承します。
二人は紋章の力によりこの一帯に平和をもたらそうとしますが、
少しずつずれていき、袂を分かち激突します。
幻水世界では「デュナン統一戦争」という戦乱の始まりです。
本作は前作と共通して登場するキャラクターや地域が存在します。
システム的にも前作ファンを意識した作りになっており、
データコンバートによって前作キャラに装備や紋章が引き継がれ、
加入時ボーナスが加えられたりする他、関連する一部イベントの追加や会話内容の変更、
前作で設定した名称などが引き継がれます。
ストーリーも丁寧でありキャラクターの心理描写がとても上手です。
シリーズ共通の108人の仲間を集める他にも様々なサブイベントやミニゲームがやり込み要素として存在します。
個人的に一番好きな幻水でありRPGです。
敵味方問わず魅力的なキャラクター、壮大かつ深遠なストーリー、劇中を彩る音楽も名曲ぞろいです。
なかでも「ルカ・ブライト」と言うキャラクターほど強烈な個性をもった悪役は全RPGの中でもトップクラスの魅力を持っています。
OPの登場からかなり印象的で、名言はいろいろ問題なので伏せますがかなりインパクトがあります。
設定的にもかなりハイスペックで、知略も武勇も指揮能力も備え、
残虐非道な戦闘狂で付いた2つ名は「狂皇子」。
主人公が反逆者になったのもこのルカ様の仕業で、物語中盤に戦うことになります。
中盤である。ラスボスではない・・・
戦闘もこれまた斬新で6人パーティ×3で闘い、その直後に主人公と一騎打ちで討ち取ると言う徹底ぶり。
普通に戦闘が強く3組差し向けてやっと倒せるレベルであり、正直ラスボスより強い。
一騎打ちも油断すると一瞬で削られるし、なによりセーブポイント無しなので負けると直前の先頭からやり直し。
散り際のセリフも清々しいほど悪役してて、とてもカッコいい。
ルカ様は一例ですが、他にも時間を忘れる(時間に追われる)イベントが盛りだくさんです。
また外伝作品が2作存在し、本編シナリオの捕捉・発展させてより深い世界観を作っているそんなシリーズだ。
(外伝作品は、テキストアドベンチャーであり、主人公も本編には登場しない。)

 

信じる道ならば進むのでしょう。それは、人の性なのですから。

シリーズも三作目に入り、2002年にPlayStation2で販売されました。
しかし幻水シリーズのキャッチコピーは秀逸ですね。
主人公が複数存在するザッピングシステムの導入を始め、戦闘システムが大幅に変わった意欲作です。
始めは3人の主人公から始まり、条件を満たすとその3人を含めた6人の主人公の視点から物語を進めることになる。
それぞれの主人公達がほとんど同じ時と場所を共有し、
おのおの属する陣営から、同じイベントが別視点で描かれる。
なので主人公達が対面することが多々あるし、
ある視点では謎だったイベントも別の視点から見れば明らかになるので推理小説のような楽しみ方ができる。
物語は太陽暦475年、ゼクセン連邦と様々な部族が団結するグラスランドは険悪な関係にあった。
グラスランドのある部族の族長子息であるヒューゴはゼクセンとの休戦協定の為に向かう。
また同じくゼクセン騎士団団長であるクリスも休戦協定を結ぶべくグラスランドへ派遣されるのだが・・・
ちょうど同じ頃、伝説の「炎の運び手」を調査するためにハルモニア神聖国から警備隊小隊ゲド一向がグラスランドへ差し渡された。
それぞれの立場から始めは敵対しながらも、様々な出会いと思惑により協力しあう。
やがて3人は、一連の不可解な事件の裏に隠された真の目的の正体に迫る。
幻水世界では「英雄戦争」と呼ばれる戦いの記録です。
前述の新システムの導入や、シナリオの方向性の転換が行われ生まれ変わった幻水です。
過去作以上に108人の仲間を活かしたゲームデザインであり、シリーズで一番「水滸伝」らしさが出ています。
戦闘システムの仕様により、各キャラクターの個性(移動速度や武器、スキルシステムの導入)が際立ち、
同じ武器種でもリーチが異なるなど、様々な戦術が生まれています。
弱キャラはモチロン存在しますが、使えないキャラはいないのも特徴です。
それぞれに見せ場が用意されており、加入するタイミングや所属する陣営によっては重要な戦力になるなどバランス調整が施されている。
戦闘員では無いキャラクターも裏方として冒険支援や資金繰りに過去作以上に役に立ちます。
ストーリー自体は悪くないのだが過去作からのファンからすると、
シナリオ方向性や過去作から登場するキャラクターの扱いに違和感や理不尽さを感じることあると思います。
ゲーム本編を補う要素としては清水アキ著の漫画版があります。
原作に忠実だが、漫画独自の展開もあり非常に完成度の高い作品に仕上がっています。
幻水シリーズでは賛否両論の立ち位置だが、ゲームとしては優れた完成度を持つシリーズであるといえる。

 

108人の待つ海へ。それは、冒険か。出会いか。

シリーズ4作目。PlayStation2で2004年に発売された。
幻水ファンに何かと叩かれる作品であり、裏のキャッチコピーは「腕が痛い」。
ちなみに某所で話題になるクソゲーオブザイヤーの2004年度の次点に認定されている。
物語の舞台は太陽暦307年の群島諸国。孤児だった主人公はラズリルと言う島の領主に拾われ、息子のスノウと一緒に育った。
後に海上騎士団の正式な騎士になるのだが、団長が海賊襲来の際に真の紋章を行使してその代償で死んでしまう。
その際に現場に居たために団長殺しの濡れ衣を着せられ流刑に処される。
流されるも運よくオベル王国の哨戒船に助けられるが、王国がクールーク皇国に攻められてしまう。
オベル王リノと共に脱出し、仲間を集めて皇国からオベルを奪還するために航海に出るというのが大まかなお話です。
過去作からライターが変更されてしまい、幻水のウリであるドラマ性の高い戦記物ストーリーが控えめに言っても軽くなっている。
ストーリー自体も短くなっており、キャラクター間の掛け合いや心理描写があっさりしていて薄い印象を受ける。
個人的に一番問題だと思うのはテンポが非常に悪いこと。
広大な海洋が舞台であるので移動は船なのだが、動きがもっさり且つ操作性劣悪。(船の操作法の説明は一切無い)
群島諸国と言う割には行ける島が少なく、上陸するにも船頭と港をきちんと併せないといけなく面倒。
追い打ちをかけるのがエンカウント率の高さ。
とにかく洋上での戦闘が多いので、船の移動速度が遅いことも相まって非常にテンポが悪い。
他にもキャラデザインを始め、声優の演技、視点の悪さ、敵の数が少ないなどいろいろガッカリな点が目立ってしまう。
幻水作品としてみるとかなり見劣りはするものの、
致命的なバグやシステムは無く、ゲームバランスも悪くない。
また後日談として「Rhapsodia」といタイトルのSRPGも発売され本作独自の設定やストーリーも補完されている。
他のシリーズには登場しない「紋章砲」の謎や、本作の敵国であるクールーク皇国のその後が描かれるなど、
実質的な続編になっており、この2つの作品を合わせてプレイすべきシリーズです。

 

すべてを、奪還する。

シリーズ5作目にして2017年現在のナンバリング作品最後の作品です。
PlayStation2で2006年に発売されました。
全体的にⅠやⅡを意識したような作風でありながらも新要素もしっかりしており、
幻水ファンだけでなく万人受けするような出来に仕上がっています。
個人的には幻水シリーズの魅力に加え、ギャルゲー(もしくは乙女ゲー)的な視点からも楽しめた作品です。
物語は太陽暦448年のファレナ女王国。真の紋章と大河フェイタスの祝福を受けて700年以上に渡り代々女王が治めてきた地域です。
しかし2年前に暴動が起き、王家が継承する紋章が行方不明になってしまいます。
暴動を起こした町は女王の怒りを買い、真の紋章によって町を干上がせてしまいます。
女王の息子である主人公はそんな復興すら許されない町を視察するところから始まります。
王位継承権の無い主人公は、妹の婿を選ぶ闘神祭と言う儀式の準備の視察の任を受けます。
時期女王の婿と言う重要な立場を選定する儀式の為、それぞれの思惑が絡み合う。
主人公達の視察も空しく、裏で様々な糸を引き婿の立場を勝ち取ったゴドウィン家。
時が経ち、首都で婚約の義が執り行われるのだが、突如としてゴドウィン家によるクーデターが起こる。
なんとか逃げ延びるも母と父は死んだと告げられ、追われる立場になってしまう。
妹は傀儡の女王としてファレナを支配するはずだから、今は大丈夫と言う結論になり、
いつか妹をそして国を奪還する決意をして首都からひっそりと旅立ちます。
個人的には本作の魅力はキャラクターにあると思います。
まず何といっても護衛のリオンと言う女の子が可愛く、ゲオルグと言うおっさんがシブい男前!
リオン嬢は賛否両論ですが、可愛く、忠義に厚い良い娘です。
フィールド移動の際も専用のグラフィックが用意され主人公の後を追いかけてきますw
そしてゲオルグさん。この方は設定だけならⅠから存在し、Ⅱで登場しています。
とにかく物理がやたら強く、付いた2つ名が「二太刀いらずのゲオルグ」。
色々歴史があるキャラクターであり、様々な地域で活躍した幻水きっての剣豪です。
ファンからはゲオルグ=甘党の式が成り立つほどのネタキャラ。シリーズ共通して初期装備にチーズケーキ。
公式のアンソロジーでもいろいろネタになっているほど愛されています。
そして本作は軍師が一番軍師らしいのも魅力です。
敵であるゴドウィン家もですが、裏で何かこっそり糸を引く描写が本作では目立ちます。
結構勝手なことやってる軍師なイメージだけど全ては主人公の為っていうの王道ですし、
軍師としての能力は低くないのだけど、ちょくちょく失策するところもまた人間臭くてポイントが高いです。
詳しい設定はありませんが容姿や装身具、過去の経験からⅢで登場したグラスランドのある部族と関係性も指摘されています。

 

今からプレイするにあたって

 

幻水シリーズは、悲しいことにどれも過去のタイトルになっています。
ナンバリング作品以外でも、近年発売された幻想水滸伝のタイトルは存在しますが正直あまりお勧めしません。
「百万世界」と言う複数の世界が並列で存在するといった世界観で、もはや別のゲームです。
一応ナンバリングの幻水世界もこの百万世界の1つらしいですが・・・
ナンバリング作品は基本的にPlayStation及びPlayStation2で展開されてきました。
今からこれらを入手するのは難しく恐らく中古品になるでしょうし、
そられも動作に不安があったり、プレミアムがついている場合が考えられます。
しかしⅠ~Ⅲまでは多少条件が異なりますが簡単に入手することができます。
まずⅠ及びⅡは「幻想水滸伝I&II ベストセレクション」と言うパッケージでPlayStationStoreで配信されています。
PSP、PSVita、PSVitaTVに対応で、税込み1851円です。
Ⅲも同じくPlayStationStoreで配信されており、PS3のみ対応で税込み1234円です。
残念ながらⅣ・Ⅴは、PlayStation2を入手するところから始めなければいけませんが、
まずはこの3シリーズをプレイしてみてはいかがでしょうか。
古典的JRPGだからこその感動がきっとアナタを待っています。