クローズアップ現代/下水処理由来のメタンガスで発電する動きが加速?!

水素と空気からつくるクリーンな燃料電池FP100

http://www.fujielectric.co.jp/products/fuelcell/pdf/01F1-J-0034a.pdfより 汚泥処理から発生したメタンガスから水素を取りだし発電する燃料電池

下水道から出るメタンガスが天然ガスに近いエネルギーに変わる日

クリーンエネルギーに対する注目が高まるばかりです。環境に配慮した製品は消費者に対するイメージアップにつながります。普段あまり意識しない下水道。実はこの下水道を通る汚水からエネルギーを作ろうと見直す動きをNHKクローズアップ現代は特集しました。今回の88ちゃんねるの特集は下水汚泥からのメタンガスから発電する動きを特集します。

2015年5月25日NHK総合午後7時30分では、「足元に眠る宝の山~知られざる下水エネルギー~」が特集されました。

下水道に流された汚水はやがて、汚泥処理のプロセスを通しても分解が困難で最終的にできる固形物になります。この固形物はケーキとも呼ばれるそうです。そのようなケーキの使い道は限定的で難しく、固形燃料にしたり、道路の舗装のブロックに再利用するなどペイするような商品化はなかなか難しいようです。

そのようなケーキができるに至るまでに実は発電のための再生エネルギーを自治体の下水処理場から作る動きが注目を集めているのです。下水道の処理で生まれるメタンガスから発電する自治体の動きをクローズアップ現代が追いました。

【平成27年度の価格表(調達価格1kWh当たり)】メタン発酵ガス (バイオマス由来)39円+税

http://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/kaitori/kakaku.html より

上記の表は資源エネルギー庁の【平成27年度の価格表(調達価格1kWh当たり)】より、メタン発酵ガス (バイオマス由来)の買取価格が20年間で39円(+税)のように高い単価で設定されていることに注目が集まっています。

下水汚泥由来のメタンガスによる再生エネルギーを可能にする自治体が増え始めているのです。

収益施設併設型PPP/PFI/BTOなど新たな動き

下水道分野における都市の新産業社会の創出国家予算7億円

http://www.mlit.go.jp/common/001022988.pdf より

聞きなれない言葉ですが、今回の特集で巨額の下水処理場にバイオマス発電所を建設する費用の負担はPFIや収益施設併設型やBTOなどという新たな経済の動きに注目する必要があります。第三セクターや半官半民という今までのイメージとは異なるものです。

「PPP」とは公民が連携して公共サービスの提供を行うスキームをPPP(パブリック・プライベート・パートナーシップ:公民連携)

公民が連携して公共サービスの提供を行うスキームをPPP(パブリック・プライベート・パートナーシップ:公民連携)と呼ぶ。

“PFIとはPFI(Private Finance Initiative:プライベート・ファイナンス・イニシアティブ)」とは、公共施設等の建設、維持管理、運営等を民間の資金、経営能力及び技術的能力を活用して行う新しい手法です”内閣府 民間資金事業活用推進室より引用

BTO方式(Build Transfer Operate)サービス購入型の方式を言います。つまりバイオマス発電所では汚泥処理からメタンガスを取り出しものを供給する代わりに、そこから発電して売電で得られた収益で発電施設のサービスを買うという構図になります。

東洋経済オンラインではPFIやPPPの概念を富山県黒部市下水道バイオマスエネルギー利活用施設を例にわかりやすく解説*しています。

(*)官民WIN・WINの価値創造型PFI・PPPを
トータルに支援 【アドバイザリーサービス編】 パシフィックコンサルタンツ

 

巨額の建設費を自治体は一旦発電所の運営事業者に負担させます。これで自治体の予算にへの負担を回避し、分割で支払うことで所有権は運営事業者だったものから最終的に買い取りをします。

やがては自治体の資産となります。

クローズアップ現代でポイントになったキーワードは収益施設併設型というものでした。

下水道からのバイオマス発電で収益年間約6千万円の試算

国内初のバイオマス発電で下水道の汚泥処理からメタンガスを扱う事業を進めた栃木県では、建設費が4億円もかかります。ただし、20年間という年間建設費で評価することがポイントです。つまりは年間で2,000万円ということになります。維持費もおよそ2,000万円合わせて4,000万円。

20年間の間は電力会社にバイオマス発電でできる電力を電力会社に販売します。年間計画売電額 約1億円/年だそうです。

そうして得られる収益は発電所を建設するなどした運営事業者を還元します。1億円から4,000万円を引いてみましょう。

栃木県によると20年の当面は電力の買取期間の間に毎年およそ6千万円の事業利益が出ると試算(*2)が出たのです。

タコが自分の足を食っている?

行政が決めた高い買い取り金額で電力会社が再生エネルギーで発電された電力を買います。

そして、電気代にはその上乗せされた電気料金を消費者が支払います。あれ、再生エネルギーは安くなるよりも逆に高くつくのでは?という矛盾をNHKのキャスターも指摘していました。

エネルギー産業は公共インフラとしての性格を抜くわけにはいきません。補助金制度で政府が高く買い支えしてるのも無期限というわけにはいきませんし、高コストが長引く誘因にもなりかねません。国家による底上げの売電価格と、売電についてのイノベーションからの低価格な電力供給の実現は果たして両立が可能でしょうか?

今まで使われなかった下水処理場の汚泥処理から湧いて出たようなエネルギー資源。下水処理場からの発電に関心を持つきっかけに88ちゃんねるからの特集がお役に立てれば幸いです。

参考

アイキャッチ画像で使われている富士電機の水素燃料電池による発電システムは、日本国内で業務用では唯一の製品だそうです。

メタンガスを燃やすことで発電する方式もあります。導入コストは低く抑えることができそうです。その代わりに燃焼する後カスの問題が出ます。

水素を作って、水の電気分解の逆をすることで電気が生まれるというのはなんとも不思議なシステムですね。

全国知事会 政策個票

全国初!再生可能エネルギーの固定価格買取制度を活用したバイオガス発電設備の導入

(*2)年間6400万円の導入効果、下水処理場のバイオマス発電(ITmedia2013年4月3日)