iPhone市場に見え始めた「人気の陰り」が意味する「スマホ市場の飽和」

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大元 隆志 | ITビジネスアナリスト/顧客視点アドバイザー
2013年9月21日 13時17分

■5Sのゴールド/シルバーモデルは売り切れ続出
2013年9月20日に発売されたiPhone5S/5C。日米中の報道を見ていても、iPhone5Sのゴールド、シルバーは早々に売り切れたと伝えられている。この売れ行きをみて、アップルの担当者は「信じられない需要だ」とAllThingsDに語った。

“Demand for the new iPhones has been incredible, and we are currently sold out or have limited supply of certain iPhone 5s models in some stores,”

出典:Apple: Demand for New iPhones Has Been “Incredible”
■iPhoneブランドに陰りを感じているアナリスト達
では、「iPhone5S/5Cはどれ位売れるのか?」米国の証券アナリストの予想が、allthingsd.comに掲載されている。これによると、アナリスト達は発売から三日間で500~775万台前後になると予想しているようだ。

パイパー・ジャフレイのジーン・マンスター氏の予想が2機種合わせて500~600万台。
BTIGリサーチのウォルター・ピエシク氏の予想が合わせて最低600万台。
シティのグレン・ヤング氏の予想が合計775万台。
今までのiPhoneの発売三日間の記録をまとめてみた。
歴代iPhoneの販売三日間の推移
歴代iPhoneの販売三日間の推移
初代iPhoneは米国のみで販売が開始され27万台のセールスを記録した(但し、初代機は二日強の数値)。その後のモデルでは初回出荷対象国を徐々に増やしながら初速を高めてきた。iPhone4Sまでの勢いはすさまじく、飛ぶ鳥を落とす勢いであったことがうかがえる。その後のiPhone5の数値は十分に立派ではあるが、3GS、4、4Sとほぼ倍々で成長してきたことを考えると、先進国における成長の限界を感じる伸び率となっていた(それでも十分立派な数値ではあることは確かだ)。

今回は、そこに十億人マーケットの中国が加わる。本来ならば、もう少し強気な予想が出てもよいはずだが、iPhone5と同数、多くても275万台増と、「控えめ」な予想がなされている。

これには、中国が加わることで廉価版になると予想されていたiPhone5Cの価格が安くなかったことも考慮されていると思うが、他の国でも前モデルまでの勢いは無いだろうとの判断が加わったと考えられる。

■iPhone5Sのグレー、iPhone5Cは在庫あり
iPhone5Sのゴールド、シルバーはそもそも出荷量が少なかったとも伝えられている。それ以外のモデルに関して「売り切れ」と報道しているメディアを見つけることが出来なかった。

日本国内でも家電量販店の状況を確認すると、iPhone5Sのグレー、iPhone5Cについては在庫が存在している。
・ヨドバシカメラ

■スマホ市場の飽和
前モデル前であれば、発売から翌日の午後までにはどこも入手困難になっていた。そもそも5Sはマイナーチェンジなので売れないという指摘もあるが、理由はそれだけでは無いだろう。

既にスマートフォンを必要とする人には行き渡り、買い替え需要だけでは一年毎の新製品発売で買い換える層は極わずか。大半の人は現在のスマートフォンの性能で満足していることも関係しているとも考えられるのではないか。

少なくとも私の周囲でも「iPhone5S/5C」を買っている人達はメディア関係者や新し物好きの言わば、イノベータ的な人が多い。彼らの報告を見ていると「iPhone5S/5C」を買ったのはいいが「何のために買った」という理由はとくになく、「iPhoneの新しいモデルだから」が主な理由のように見える。これでは、マジョリティ市場は動かない。

iPhone5S/5Cがもし「期待された程に売れなかった」とするならば、ポストPCを牽引してきたスマートデバイス市場にも成長の限界点が見えてきたと捉えるべきだろう。スマートデバイスに次ぐ「次の市場」を創れるか、これが来年のキーワードになるだろう。