「行動観察X」システムがHRアワード2015優秀賞受賞!大阪ガス行動観察研究所が脚光を浴びる背景とは松波晴人所長のガスコンロの改良から?!

 所長の松波晴人と行動観察研究所のイメージ。これまでの市場調査法に大きな波紋

http://www.ogis-ri.co.jp/より
行動観察研究所 所長の松波晴人氏。これまでの業務改善方法に大きな波紋を与えた

「行動観察X」が「HRアワード2015」優秀賞を受賞

2015年11月18日(水) 日本の人事部主催の「HRアワード2015」(*)において、「行動観察X」が「プロフェッショナル部門 情報サービスの部」の優秀賞を受賞しました。

HRという言葉をホームルームの略という勘違いな話ではありません。Human Resources(つまりヒューマンリソース=人的資源に由来し)人事部組織という用語を略してHRという専門用語を使うのですね。88ちゃんねるの人事部にもHRなる略語を使っているか確認しなくては…。

さて、HRアワード2015の受賞の価値人事部組織が評価する、しかも80,000人の会員からの投票により各賞を決定するコンテストで受賞した行動観察Xとは一体なにものなのでしょうか?

松波晴人所長の重要キーワード「フレーム」と「リフレーム」

様々な業界の中で従来では当然と考えられていた価値観や常識を超えた何かがもたらす破壊的な創造のことをイノベーションが起きたと言われます。

そこまで大げさ言い方でなくとも一度既成概念から離れるために何らかの行動が必要とされます。

それは現場へ出ることだと言います。現場をきちんと観察した上で、なるべくデータをありのままのように集めるのです。

デジカメ、スケッチ、メモ、音声、など記録に必要な端末が特別な高性能である必要はないように見えます。

そこから新たにクライアントと共に一緒に相談しながら仮説を構築していきます。

そこに根拠のある解決策を協同で作り上げていくことで成果を出すものです。

その解決策は今までの既成概念が壊れされていくある意味の破壊感があり、気付きという気持ちの良いものかもしれません。

 

Youtube動画から見た2つのリフレームの例

 老人ホームというのは他人のために感謝されるような自ら働きかけることができる場所

居住性のよい住まいと福祉サービスの向上ならば、特に老人ホームに必要とされるニーズとして不自然さはありません。

ところが新たに老人ホームの入居者のニーズを新たに居住者には他人のために感謝されるような自ら働きかけることができる場所

と再定義します。

ベテラン営業マンが持っていたコツとは、特別な商品説明能力ではなく、困っている顧客の話を聞く耳を持ったカウンセリングスキル

自社製品のことはよくわかっていて長短所にも詳しく説明上手。営業マンに必要とされるスキルとして不自然さはありません。口がうまい人をあの人は営業マンだからという説明などはよく耳にする話です。

ところが、営業マンは顧客にいかに口でうまく顧客の気持ちをつかむようにいかに説明上手であるか訓練するべきかということに重心が傾きすぎる傾向があるようだと松波氏らは行動観察しています。

ベテランの好成績な営業マンのもっていたコツを、

困っている顧客の話を聞く耳を持ったカウンセリングスキル

と再定義します。(*相槌などが絶妙と名高い心理学者の河合隼雄氏の聞き上手のレベルは伝説的で、タクシーで乗り合わせると運転手が勝手に口を開き延々と語ったそうです。聞いてもらえたのでお代は要らないと場面すらあったと聞きます。)

 

 

行動科学Xパッケージの4つのとは、"場"における事実の把握+「個」の深い理解による文脈(How)・理由(Why)の把握+アカデミックな知見に基づく解釈+社の組織文化を深く理解し、 共に考え、共に創るという思想のもと、 すべてのプロセスを共に実行

行動科学Xパッケージの重要視する4つのポイント
他分野では素人でも人間についてはプロフェッショナルという根拠がここにあります。

トップダウン型でも、ボトムダウン型でもない新しい「参加型」の改善法

優れたベテランのノウハウを口頭で説明しきれなかったために共有できなかった「宝の持ち腐れだった」財産が目に見えるようになる手法として行動観察が注目されているのです。

外部から来た研究員は内輪の人からみるといわば宇宙人のような発想や提案をしてくるかもしれません。

内輪の人だけでは見えない人間の行動それらが今まで気づきにくかった潜在的な謎を共に発見していきます。

その謎を研究員とクライアントが一緒になり共に解いていくことで仮説を一緒に構築していきます。

仮説がきちんとした人間の行動を回す根拠を持って解決策として提案され、調査員とクライアント共に考えるのです。これがモノやサービスだけにとどまらず、社内の働き方さえ改善につながっていくポテンシャルがあるのです。

 

行動観察の方法が氷山に例えて水面下に潜っているニーズを創造する様子

http://www.ogis-ri.co.jp/event/docs/1209964_6738_02.pdf より

「行動科学X」は、適切な答えがあるからそれに従え式のコンサルティング方式とは一線を画するものです。

行動観察者は、必ずしも行動観察の学問に詳しい専門家でなくてもよい気もします。

社外だったり、違う部署だったり、違う畑の観察力の優れた人物が現場に行き事実を収集し、社内の人物だったり、商品の利用者に質問をします。このどうしてそうなんですか?という質問に真面目に説明したり、説明のために考えることがまず重要にになります。

ところが、人間工学や心理学に詳しい人材が調査員がいくと行動の背景や意味することの解釈に学問的な裏付けが伴うことで説得力が出ます。それは、経験や勘といった漠然とした改善案ではないのです。

例えば、電車等の横に長いシートには隅から人は座っていくものです。人間には心理学的にはパーソナルスペースと呼ばれる縄張り空間があります。多くの人で込み入ったエレベーターの中でつい上を向いてしまうという行動もそのような心理学あるいは人間工学的に理論化された体系があるのです。

理由があって何らかの決まった行動が取られるというごく当たり前のことですが、無意識にとってしまう行動に対して理由や背景があるという説明をする能力が今後一層重要です。人と人とのより良いコミュニケーション向上に欠かせません。

外部の人物が観察者になることで新しい枠組みで仮説を作る醍醐味

観察力の優れた人物であったり、好奇心旺盛な人物がいわば外部の人としていきなり現場にくるわけです。そうした外部の人は人がなぜ特定の行動をするかについての心理学や人間工学の専門家として説明能力を備えた観察力があります。

人間が心地よく感じるためについとってしまう行動やあるいは逆の不快さからついとってしまう行動等に詳しいのはもちろんです。

足してなぜ行動したかの背景まで説明できることで、内輪の人への説得や納得と共感が促されます。外部からやってきた新参者にとって内部の常識は全く理由が分かりません。内輪の人が外部の観察者にいざ説明しようとしても最初は説明のしようがない場面もあるでしょう。

我が社では、業界では、決まっていることだから等を言い訳として終わらせないことです。なぜかを説明するためのツールとして行動観察が威力を持ちます。

「行動科学X」の生みの親/大阪ガス行動観察研究所

大阪ガス行動科学研究所のオフィス写真

http://www.osakagas.co.jp/company/tsushin/1203564_15288.html?_ga=1.206962324.643870054.1449022418より 所長は写真の右側のお座敷のようなところで寝転がりながら研究することもあるそうです。

大阪ガス行動観察研究所 所長松波晴人達のサンプル調査やアンケート調査とはひと味違うアプローチ

行動科学研究所とガス会社と最初に聞いた時に、なぜガス会社に行動科学の研究所が誕生したのか気になるところです。

ガス会社の研究所なら効率よくガスを燃焼させたり、安全な自動消火機能のついたガスコンロの開発など思い出しがちなのではないかとおもいます。そして所長の松波晴人氏は工学系の博士号を持っています。それだけを紹介すると片手落ちです。

松波所長は、生理心理学、人間工学関係の研究活動に従事。2002年コーネル大学大学院にて環境心理学という学問分野で修士号(Master of Science)をとっています。モノを作るのも大切な仕事ですが、作られたモノがどう使われているかという使われ方の科学者でもあるわけです。

まず、行動観察研究所でよく紹介されるエピソードから始めてみたいと思います。

松波晴人氏らがガスコンロの利用状況を家庭の台所まで入らせてもらう協力を得ます。

これでまずガスコンロが実際に使われている現場へいくことができました。

報告書で得られた言葉や数字にはその後に加工されるリスクがあります。しかし、「行動は嘘をつかない」と松波晴人氏らは現場へ出向いた上で観察します。(*2)

ここで大切なのは調査員としてガスコンロの利用者に「普段と変わらないいつものままの行動」を観察させてもらうことができたことでした。

(観察するためにはできるだけ観察者の存在感をゼロに近づけることが大切だと言います。)

ガスコンロを使う時に着火の確認のために高齢者が座り込んでまで確認する様子

https://youtu.be/Lq_0-Nf-15w より
最初から手元で着火しているのが確実に確認できれば、むりに姿勢を崩れすこともないのでした。

ガスコンロの点火を気にするために、利用者がかがんでガスコンロの火を自身の目で確かめていることに着目します。

松波晴人氏は利用者がかがむ姿勢をとって負担をかけてしまうことに強いこだわりがあるようです。それについてはまた別の機会に。

点火スイッチを回してもに着火できない場合があるガスコンロを利用者の行動観察から改善

ガスコンロを使う時に着火の確認のために腰をかがめる行動への改良ガスコンロのイメージ

https://youtu.be/Lq_0-Nf-15w より
最初から手元で着火しているのが確実に確認できれば、むりに姿勢を崩れすこともないのでした。

気がついてみるとガスだけがシューっと漏れていたりします。この時間が長いとガス爆発やガス中毒などが心配です。ガスコンロの危険はきちんと着火したかどうかこの目で確認できないと安心できない利用者は多数います。

行動科学研究所の発見とはこの着火の確認の姿勢をとった行動に違和感を感じたことにあります。

一般家庭のガスコンロの利用行動のサンプル数は、限られた予算の中からそれほど多くはないにも関わらず(統計的データ解析の最低サンプルは300以上必要だという意見もあります。)画期的なガスコンロの製品の改良に活かされるのです。

調査観察の中でお年寄りは座り込んで、きちんと着火したか確認しているとのデータを得ることができました。

もし、このガスコンロにどれくらい満足されていますかお答えくださいだったらどうでしょうか?

  • かなり満足している
  • まぁまぁ満足している
  • 普通
  • あまり満足していない
  • 全く満足していない

のようなアンケート用紙への記入から、腰をかがめる姿勢を想像できたでしょうか。

点火されているか消えているのか確認させる手間を松波晴人所長は発見、改善

観察調査としてありのままの台所を見せてもらうのに抵抗感を示さない消費者がいるでしょうか?つい調査員が来る前に見栄を張り、観察調査前に少しくらいはいつもと違う行動を取るのではないでしょうか?

それではリアルな生活場面の観察から誤差がでます。その点、電気・ガス・水道は公共事業ですから、他の私企業と比較した場合は、調査員は利用者からの信頼を得やすいはずです。ありのままの様子をまず観察するという課題達成に有利な面があったと言えるでしょう。

 

https://www7.j-platpat.inpit.go.jp/tkk/tokujitsu/tkkt/TKKT_GM301_Detailed.actionより 技術者として複数の特許取得に加わる松波晴人氏の経歴の一部を象徴する図面です。

https://www7.j-platpat.inpit.go.jp/tkk/tokujitsu/tkkt/TKKT_GM301_Detailed.actionより 技術者として複数の特許取得に加わる松波晴人氏の経歴の一部を象徴する図面です。

上記の画像はビルトインコンロとしてすっかりおなじみのフォルムです。この図面に驚いたことに国内で特許が取得されていました。(2011-169587、ページ末に詳細があります。)

【課題】使用者が加熱調理器の近くに居る場合だけでなく加熱調理器から離間した場所に居る場合であっても、加熱手段が加熱作動中であるか否かを確認することを煩わしさの少ない状態で行うことが可能となる加熱調理器を提供する。)要約は以下のようになっていました。

【解決手段】加熱手段1の加熱開始指令及び加熱停止指令を指令するための手動操作式の指令操作体31と、加熱手段1が加熱作動中であることを表示する発光式表示部40と、加熱開始指令が指令されると表示作動を実行しかつ加熱停止指令が指令されると表示作動を停止するように発光式表示部40の作動を制御する表示制御手段とが備えられ、発光式表示部40が天板5の周縁部に位置させた発光面41を発光させるように設けられる。

もしも使用者全員がコンロの火の点火の確認で姿勢を「全員が崩さない」で何も不自由がなかったら松波晴人氏の功績も生まれなかったかもしれませんね。

松波晴人氏は大阪ガスの技術者チーム内から発明者として、大阪ガスに所属しながら調べた範囲内において2001年から発明者の名前を連ねています。*1

 

行動観察研究所の気になる予算は

行動観察研究所へ依頼をするとして、テーマにより様々ですが、数百万円から数千万円の概算が出されています。

調査員が何名必要になるのか何時間行動観察研究所がつきっきりになるのかケースバイケースで本当に概算でしか

実際のところ費用は分かりません。

500事例以上の行動観察に取り組んだ大阪ガス行動観察研究所株式会社

は新たに2015年7月1日よりオージー情報システム株式会社(OGIS)に由来する株式会社オージス総研と合併しして活動を新たにしています。

 追記しました!2015-12-09

渋谷のツタヤで立ち読みしている画像

2011/08/26
読みたガール-Meets☆Shibuya   yae onoda 撮影より

今回はガスコンロの改善が原点だったという流れからやがては国内の企業人事部全体から注目されるに至った行動観察Xパッケージを特集しました。

成果の上がった具体的な応用例を新たに特集します。紀伊國屋書店大阪市本町書店とコラボする松波所長率いる行動観察チームが行動観察により、

どのような書店改善を行ったのか?
ガイアの夜明けも取材/売り場が変わった?!行動観察で書店の新たなニーズの発見と店内改装後

行動観察のメソッドの採用がどう顧客の行動評価に影響を与えたのか。

他社のビジネスの現場へも応用ができる実力評価としての具体例として踏み込んだ特集となっています。

参考リンクなど

人事部の投票から選ばれる人事部の取り組みのコンテストの審査プロセスイメージ

http://hr-award.jp/inspection.html より

(*0)日本の人事部「HRアワード」は、企業の経営者や管理職、採用・育成ビジネスや人事サービスを展開する企業の皆さまからいただいたご意見を基にノミネートを決定し、80,000人の会員からの投票により各賞を決定する、透明性の高い表彰制度。

*過去の特集記事:株式会社おかんもHRアワードで受賞しています。88ちゃんねるでも取り上げた株式会社おかん。どんな企業か気になった方は、以下の

ガイアの夜明けが株式会社おかんを特集!昼食難民に注目の新ビジネス! 2015-4-28

も参考にどうぞ。

ガイアの夜明け TV東京系 2011年09月20日放送 第484回 消費者を科学せよ!~客を呼ぶ秘密は”行動観察”〜 (火曜夜10時放送 放送内容のバックナンバーサイト)

利用者の生活実態をありのままで見ることは実は消費者自身も経験するのは難しいでしょう。

例えばですが、こうして特集を組んでいる88ちゃんねるの内容を編集している様子はWebカメラなどで録画していれば、

  • 自分がどんな姿勢で(肩に力が入ったり、貧乏ゆすりをしたり…)
  • 自分がどんな態度で、(どんな独り言を言ったり、隣に泣き言をたれたり、舌打ちを売ったり、眉間にシワを寄せたり、ニヤニヤしたり)

絶対に自分では嫌がると思いますが自分の姿は見えないものです。そして、見せたくないものです。

だからこそ共に解決したいという感情の共有を行動観察研究所は重要にしているのです。

アイキャッチアイコン画像は『大阪ガスの意外!?な一面。サービスを科学する「行動観察」とは?』 大阪ガス通信2013年5月15日(水)より

 

(*1)特許・実用新案、意匠、商標の簡易検索から「加熱調理器 松波晴人」で検索したリスト

  • 特開2011-169587加熱調理器大阪瓦斯株式会社2011年09月01日特願2011-126346
  • 特開2008-064364加熱調理器大阪瓦斯株式会社2008年03月21日特願2006-241512
  • 特開2003-185142加熱調理器具大阪瓦斯株式会社2003年07月03日特願2001-386521

独立行政法人 工業所有権情報・研修館サイト内より)

(*2)統計的調査の有効性を否定しない。

POSなどの売上や財務内容の数字等のデータを見て方針を二転三転しなければならない場面もあります。

松波所長は既に顕在化しているニーズの調査方法としてアンケートなどのサンプル調査で有効だと評価しています。もうその方法が旧いと主張してはいません。

例えば、電子マネーやポイントカードから今後の新たなニーズをビックデータから抽出するのは、ITのお得意分野だと言えます。それでも今後必要とされるのは既にわかっているニーズ+αという時代に入っていると考えます。