カンブリア宮殿/東和電機製作所HAMADE全自動イカ釣り機は断トツ

イカ釣り船に搭載されている全自動イカ釣りのイメージ図

http://www.towa-denki.co.jp/product/squid_special/squid_about.html#squid_ship より 自動イカ釣り機が複数積まれている。

12月11日、2014年のテレビ東京系のカンブリア宮殿では、イカの漁獲に真摯に取り組んでいる企業がクローズアップされました。現代のハイテク化した漁船とはどのような進化をしているのでしょうか?なんと一艘あたり1,200万もする自動イカ釣り機装置(15台のシステム)を作っている企業があります。

そして、このイカ、網に引っかかるものを水揚げしているわけではありません。釣るのです。疑似餌によりイカは騙さられて釣り上げられていきます。

伝統的には1本釣り*1で次々に船の中へ釣り上げたものを漁港で卸すわけです。それがロボット化されイカ釣り漁船に革命が起きた様子が放送されました。

漁師はいつも真剣勝負、それに応えて製品を提供する東和電機製作所

さて、タコ・イカと言えばどちらが食べられているかご存知ですか?

答えはイカで、いつも日本で食べられる魚類のNo.3をいつもキープしているほどの人気です。

現代において、その国産のイカで水揚げされるものは人力ではなく、ロボットが自動的に釣り上げます。そのシェア第1位が1963年に創業した東和電機製作所(本社:函館市従業員55名、年商30億)です。

このロボット実は様々なメーカーが製造していた経緯があります。調べていくとナショナル製(現在のPanasonic)のイカ釣り機でさえもが販売されていることがわかります。

コンピュータロボットの採用が起爆剤に企業再建

東和電機製作所のシェアが第1位から2位へ転落し、盛り返しの起点になったのがコンピュー ター技術への着目です。

世界初、イカ釣りロボットの全自動化に成功したのが昭和59年でした。(1984)実は、この年には初めてApple社が Macintoshを発売した年でもありました。

今回のカンブリア宮殿での肝は「シャクリ」という一本釣りでいう疑似餌の上下の動きという数値化しにくい漁師の技術を模倣し、自動制御*2する点にあります。不規則的な上げ下げかつ船の動きも計算して再現しなくてはなりません。

漁法の製品化には口では伝わらない曖昧さが伴います。技は体で覚えるというようなものでしょう。製品化の度に漁師によく怒られたそうです。怒られることを積み重ねて熟練の漁師の技術の再現が可能になります。

数々の改良が加えられて日本だけでなく世界へで通用する技術となりました。(例:台湾、韓国、中国、ニュージーランド、ペルー、チリ、アルゼンチン等)

疑似餌も商品ですが、その柔らかさから「おっぱい針」という変わったネーミングの商品が紹介されます。また、ある針は10本で1,000円という表示も画面から放送から確認できました。イカ釣りの針だけでも何種類もあります。

イカ釣り漁法に革命を起こした浜出社長の人間像

父親に大きな影響を受ける浜出2代目社長

現在の2代目社長の浜出雄一氏は、父親で創業者の浜出慈仁氏と同じ武蔵工業大学に進学、父親が電気専攻だったために敢えて違う機械専攻を選択します。

父親の自動イカ釣り機を傍目に外注に出していた仕事を自社でできるように例えば、自動カッティングマシンなど、生産設備を整えるなど会社の黒子でいたようです。

創業者の跡取りとして長男である浜出社長は後を継ぐのにはためらいがありました。経営状況が悪かったのです。売上は上がっていても漁師からその売掛金が回収しづらいなど負債も相当なものだったようです。やがて社長は2代目社長になる覚悟を決めます。

 そんな流れもありつつも、現在の社長がテレビの画面の中で、社内の体育館で女子社員と卓球をして負け続けている場面がありました。そして、卓球はつまらないというのです。

なんだか温かみのある人物像が浮かびます。会社の沿革に1996年にハワイ社員旅行実施と載せてしまうのもその現れでしょうか。

反面、自分の製品が漁のたびにいつも真剣勝負している漁師の水揚げにもろに影響している責任の重さを感じ続ける実直な性格が画面から伝わってきました。

社長も営業も自ら漁師のところへ行き対話し製品の改良に努めて続けています。初代の自動イカ釣り機も今では16世代目まで改良されています。

社長や営業が製品を購入する漁師の意見・クレームに注意を払っているのは企業としての誠実さと熱意の現れでしょう。一時期シェア第2位に転落した時以来、シェア第1位を奪還し、企業の姿勢を立て直すのは容易なことではありません。

漁師は真剣勝負をしているの口癖と、飽くなき探究心で漁師から喜んでもらえたら

社員が出向くよりも早く製品の評価を船から無線でダイレクトに聞くことができると社長は言います。

マグロ釣り漁に欠かせないHAMADEブランドのピンク色の製品のカラーは漁師から勧められた色とのこと。漁師の存在が主役で、自社製品が脇役というような謙虚さ。漁師への敬意のひとつの現れでしょう。

HAMADEブランド 一本釣り機

http://www.towa-denki.co.jp/product/pole_and_line/index.html HAMADEブランド一本釣り機

まだ実験中のLEDの光漁船ではイカを騙せない!

完成度は70%ぐらいだと社長が語る夢。それは実験船の濱出丸(LED魚灯搭載当社試験船)が実用化し、夢のLEDによる環境負荷が少なく低コストで日本の漁業を支えることです。

 

漁業で大きなコストに上がるのが重油の値段です。イカ釣りで光源になる明かりは白熱球では重油で賄うために費用もバカになりません。そこで低電力のLEDなら大幅にコストダウンが図れます。

そして白熱球では釣れるイカがなぜかLEDの光では釣れないという壁が現れたのです。

視力のよいと言われているイカの特性を見極めるために、LED分野でパイオニアの技術を持つ東亜化学工業まで技術提携を結ぶなど、実用化に向けて努力を惜しみません。やがて日本の水産資源の安定と確保の未来を見据えています。

日本の漁師の中での名人は20人から30人しかいないだろうと社長は見積もっていました。180隻あった大型イカ釣り漁船は1,2隻となってしまい、現在ほぼ作られていないようです。

LED漁船の実現を目指す実験漁船濱出丸イメージ図

http://www.towa-denki.co.jp/company/index.html#page_5 より LED漁船実用化へ進む開発

 

この実験漁船の実用化が成功させて日本の水産業を底から支えようと進める東和電機製作所にテレビ画面を通じて応援を送りたくなるようなカンブリア宮殿の特集でした。

参考)引用の太字や色付は引用者によります。

〒040-0077 北海道函館市吉川町6-29
TEL:0138-41-4410

当時のイカ釣り漁業は、「トンボ」「ハネゴ」といった釣具を使う一本釣漁法によるもので(第7編コラム19参照)、釣具は乗子(イカ釣り漁業の従事者)各自が準備したので、漁業家は、乗子が乗船する10トン前後の中古漁船を用意するのみで着業できた。手っ取り早く漁業に従事しようとする漁業家にとっては、格好の事業になったわけである。

  • *2日本科学未来館のWebサイト内deep_science/注目の先端科学技術について、主としてスタッフ自ら取材・執筆を行い、紹介する新スタイルの科学情報サイト。(更新:2006年~2009年)特集vol.4 チャレンジングロボット 鼎談より引用

このロボットが垂らす糸の先についた針にはシャクリ(返しの部分)がありません。だから船上につり上げた瞬間にはずれて自動的にイカを水揚げできるのです が、一方で船が揺れて糸がゆるんだ瞬間にバレてしまいます。それを防ぐために、揺れを検知して一瞬たりとも糸がゆるまないように張り続けているのです。一 度釣れたイカの深度も覚えていて、次の針はそこまで降ろします。これもいまは10億円の市場規模。

  • 経済産業省等が主催する「今年のロボット大賞」2006「中小企業・ベンチャー部門」を受賞、イカなる状況でも、イカ釣る、イカしたロボット (受賞した2006年当時、年商は10億程度だったようです。10年弱で年商が3倍まで成長という中身には、地方から海外からも製品に支持される普遍的要素があるからでしょう。)